日本歯科麻酔学会のガイドライン
2019/5月に、日本歯科麻酔学会のホームページに、
「歯科治療による下歯槽神経・舌神経損傷の診断とその治療に関するガイドライン」が掲載されました。(藤田教授の論文も引用されています)
歯科医向けのガイドラインですが、P87は、治療法に関する知識を得たい患者さんにも、大変参考になると思います。
参考文献
自分の症状や原因について理解する上で、私が参考にした文献の一部を紹介します。
論文情報の集め方にはいろいろな方法がありますが、特に医学系の論文は一般人がアクセスできない有料データベースもあります。比較的簡単に検索する方法を「情報の集め方」ページに掲載しました。
文献X
◆文献名
【Outcome following lingual nerve repair with vein graft cuff: a preliminary report.】
◆資料名
Journal of Oral and Maxillofacial surgery (2014 Jul)
◆著者名
Shigeyuki Fujita, DDS, DMedSc,* Itaru Tojyo, DDS, PhD,y Masai Yamada, DDS, Yoshihiko Go, DDS,x Takashi Matsumoto, DDS, PhD,k and Norifumi Kiga, DDS, PhD
※藤田教授の舌神経再建手術法に関する論文です。これから手術を受けようとする人、舌神経の再建手術にたずさわっている人にとって非常に有効な文献です。
文献X-1
◆文献名
【Comparison of Subjective and Objective Assessments of Neurosensory Function after Lingual Nerve Repair】
◆資料名
Med Princ Pract 2019;28:231–235 , DOI: 10.1159/000497610
◆著者名
Yukari Shintani Takashi Nakanishi Masamichi Ueda Naoki Mizobata
Itaru Tojyo Shigeyuki Fujita
※舌神経修復後の、神経感覚機能の主観的評価と客観的評価の比較論文。
文献X-2
◆文献名
【Risk of lingual nerve injuries in removal of mandibular third molars: a retrospective case-control study】
◆資料名
Maxillofacial Plastic and Reconstructive Surgery (2019)41:40
◆著者名
Itaru Tojyo1* , Takashi Nakanishi1, Yukari Shintani1, Kenjiro Okamoto1, Yukihiro Hiraishi2 and Shigeyuki Fujita1
※臨床データを通じて、下顎第三大臼歯の除去における医原性舌神経損傷の危険性を判定した論文。30~50代の女性患者において、よりリスクが高い事がわかります。
文献X-3
◆文献名
【Comparison of prognosis in two methods for the lingual nerve repair: direct suture with vein graft cuff and collagen allograft method】
◆資料名
Maxillofacial Plastic and Reconstructive Surgery (2022) 44:6
◆著者名
Shigeyuki Fujita* , Itaru Tojyo, Takashi Nakanishi and Shigeru Suzuki
※舌神経修復の2つの手術方法について比較されています。
文献X-4
◆文献名
【Outcomes of Direct Lingual Nerve Repair After an Injury: A Systematic Review】
◆資料名
J Oral Maxillofac Surg. 2021 Mar;79(3):697-703.
◆著者名
※舌神経修復手術の結果に関する系統的なレビュー。藤田教授のデータと論文が引用されています。
文献A
◆文献名
【専門医・他科・専門機関と連携するためのかかりつけ歯科医に必要な知識 3 意外に多い智歯抜歯後に生じる神経麻痺の防止策(前編・後編)】
◆資料名
Quintessence Vol.29 (2010.03)
◆著者名
藤田茂之 (和歌山県医大 医 歯科口腔外科)
※歯科医のための記事ですが、下歯槽神経麻痺と舌神経麻痺の治療のための判断フローの記載があります。また、舌神経が何故損傷し得るのかについて理解する上で、非常に参考になりました。
文献B
◆文献名
【<総説>三叉神経の損傷と治療】
◆資料名
新潟歯学会雑誌 J. 32(2002)
◆著者名
染矢源治,瀬尾憲司,田中 裕,豊里 晃,山崎由美子(新潟大学大学院 医歯学総合研究科)
※発表年は古い文献ですが、神経損傷と神経再生過程で発生する疼痛、神経の麻痺レベルを検査する方法について理解する上で参考になりました。
文献C
◆書籍名
◆出版社名
医歯薬出版株式会社
◆著者名
野間弘康・佐々木研一・山崎康夫 編
※舌神経麻痺がタイトルにある唯一の本ではないでしょうか??
高価な書籍で、一般の図書館にはなかなか置いていないため、大規模書店の医学書コーナーで閲覧しました(^^;)
神経損傷の解説、外科手術による神経移植治療方法などについて、図や写真でわかりやすく説明されています。
文献D
◆文献名
【下顎第三大臼歯抜歯時に生じた舌神経損傷に対して顕微鏡下神経縫合を行った3例】
◆資料名
日本口腔外科学会雑誌 巻:54 号:2(2008.02)
◆著者名
根来健二・稲山雅治・松本隆司・薮田達雄・東條格・藤田茂之(和歌山県医大 医 鹿口腔外科)
※舌神経の神経再建手術を行った3件の臨床例と、術前・術後の舌の知覚・味覚の変化の評価が載っています。手術を受けるという選択肢を視野に入れ始めた頃に、何度か読み返しました。
文献E
◆文献名
【PGA-collagen tube を用いた三叉神経損傷の新たな治療戦略】
◆資料名
新潟歯学会雑誌 第39巻第1号
◆著者名
瀬尾 憲司,染矢 源治(歯学侵襲管理分野)
※自家神経移植以外に、人工神経チューブを用いて神経再建を行う治療について記述されています。